いつくしみの聖母会

〒874-0841 大分県別府市竹之内4-1 TEL: 0977-23-9334

『日本と原発』の上映会

 7月19日(土)午後1時より、大分県由布市中台公民館(いこいの家中台荘)にて、『日本と原発』の上映会が開かれました。常々、原発の問題については、本や新聞記事など文字を通してより、映像によって視聴覚にうったえた方が理解しやすいと思っていました。それで、この映画を通して原発について考える集いと思い立ちました。けれども、製作者から借りるためには、高額のお金が要り、大勢の人を集めなければならず、半ばあきらめかけていた所に、大分女子カルメル修道院のシスターを経て九州・自然エネルギー推進ネットワークの小坂正則(大分市在住)を通して、この映画の試写会用DVDを借り、少人数でも見ることができる道が開かれました。

 そもそもは、福岡で脱原発運動をしておられる青柳行信さんが、製作者と交渉して、3ヶ月限定で、お金をかけずに少人数でも見ることのできるやり方を認めて頂いたのだそうです。私達は、とても幸運でした。

 会場となった中台公民館は、別府の中心地から車で15分ほど上った山間部にあります。中台地区は、もともと開拓農家の集落があった所で、カルメル修道院が、公民館に隣接しています。十畳2間続きの和室に座ぶとんを置き、シスターのアイデアで、畑で使う寒冷紗(かんれいしゃ、作物のおおいとして使う黒いネット)を窓際に張って、自然の心地良い風を通すと同時に室内を暗くして画面を見やすくしました。部屋の中には、家庭用の小さな扇風機が1台あるだけです。また廊下には、昨年児童館の小学生が作ったパネルを展示しました。参加者は15名。内訳は、カルメル修道院のシスターが3名、大分から3名、別府から5名、日出町から1名、中台地区から2名(田娘)、宮崎県延岡市から1名でした。途中で休憩時間をとり、シスターのさし入れて下さったケーキやお茶、コーヒーを頂きながら、自然な形で、前半を見ての感想を分かち合いました。

 後半を見終わった後、文字通りひざをわっての分かち合いとなりました。分かち合いの中では、次のようなことが、語られました。

● 原発が、作り始められた頃、朝日新聞に載っていたサトウサンペイ氏の4コママンガに、”原発が、そんなに人々の生活に役に立つなら、都会のまん中に作ればよい・・・”というのがあったのを思い出した。あの時から電気の消費地である大都会と原発のある地方の問題、立地に関する問題があったんですよね。

● 農業技術者として永年働いて来て今、言えるのは、科学・技術っていうのは、ある一定の条件が整った上で、それを基盤として成り立つときに、人間のために良いものとなるのであって、整わなければ害になる。その意味で原発は害でしかない。

● 経済と安全は、両立しないんじゃないか。経済性を重んじれば、安全性は薄くなり、安全性を重んじれば、経済的に成り立たない。これが問題ですね。

● 科学・技術が、人間にとって良いものであるためには、最終処分まで含め、それが循環できるような道筋ができていないといけないんじゃないか。

● 事故がなくても、通常動いている状態でも原発によって死の灰が生み出され、人間は、それをどうしようもない。原発をやめるしかない。先日、地元出身の自民党議員が、飯田さん(映画に出てくる自然エネルギーの専門家)を招いて講演会をやった。あれっと思って参加したが、その集いのさいごにその議員が、プルトニウムを持つことには、軍事目的があり、抑止力になるんだという話をしたんですね。

● 脱原発についても、安保関連法案への抗議についても、何故そうなのかということをきちんととらえておかなければならない。そして、子ども達の将来のことを考えなければならない。

● 原子力ムラについての説明が、よく分かった。本当にがっちりとつながっているんですね。総括原価方式をやめることによって、原子ムラを何とか変えられないだろうか。

● 飯田市(長野県)が、取り組んでいるような市民が協力して電力需要をまかなうやり方が、今後、期待されると思う。

● 原発がなくても、代替エネルギーに不足することはないというが、”代替エネルギー”の発想自体に疑問を持つ。今の生活を変えないということは、結局、未来のことを考えていないということになるのではないか。私達の生活を20年前のレベルにまで戻して、節電の工夫をすること、つまり、代替エネルギーがなくても、不便を感じずにできる生活のスタイルを考えるべきではないか。

● ”経済”ってどういうことかという根本的な問いが、浮かぶ。”個”の欲望を限りなくふくらませそれを満たすことが幸福だという考え方が、本来の”経済”のあるべき姿をまちがった方向に動かしているのではないか。

● 原発事故によって最も苦しんでいる人たちー避難生活をしている方々、町長さんや村長さん、原発内で収束のために働く下請けの方々などーと、東電の上層部や国の政治的指導者との隔りの大きさを感じる。それは、戦時中と同じ構造を思わせる。戦争中 指令塔として上に立っていた人々と、前線で戦った兵士、疎開生活をおくった市民、沖縄の人々、ヒロシマ・ナガサキの人々などとの隔り。

 

以上のように、この映画を見て、文明論や歴史論的に思索は広がり、深められて行くようでした。今も、考え続けています。映画会にお母さんといっしょに参加した女の子”夢ちゃん”は、農業高校の2年生です。もうすぐ、楽しみにしていた修学旅行です。映画を見て帰宅した後、こわがって修学旅行に行きたくないと言っているそうです。確かに、原発という存在に関わり、広がる現代社会の悪に関して、私達ひとりひとりに責任があります。そのことに気付き、考え、生活を見直しあらため、伝え、学び、そして祈ることを、この映画会の場で、お互いに確かめあったような気がします。そして、勉強会のような形でも、このような集いを続けることが出来たらと思っています。

f:id:secondson:20150728190403j:plain

三位一体のエリザベット松吉久美子さんの終生誓願式

 2015年6月13日(土)、大分県別府市にある いつくしみの聖母会で、大分教区の田口孝志神父様とサレジオ会のカルメロ・シモンチェリ神父様の司式により、三位一体のエリザベット松吉久美子さんの終生誓願式が、行われました。彼女は、名古屋で、介護の仕事をしている在宅の会員です。清楚に飾られた聖堂で、ふだん遠くに離れている会員や友人が、集い、在俗奉献の道をさいごまで歩み続ける恵みが、彼女に与えられるよう祈りました。また、参加出来なかった会員達の祈りを感じながら、新誓願者への荘厳な祝福のことば(以下に掲げます)を、かみしめるように聴き、同じ道に召されている喜びを深く味わいました。

 

新 誓 願 者 へ の 荘 厳 な 祝 福

 

天地万物の創り主であり、すべての人の父である神よ、

わたしたちは あなたをほめたたえ、感謝を捧げます。

 

あなたは アブラハムの子孫からひとつの民を選び、

その民に あなたのみ名の栄光を与え、聖別されました。

 

彼らが砂漠をさまよう間は、み言葉によって力づけ、み手を延べてお守りになり、

貧しさのうちに捨てられているときには、愛の絆で その民をご自分に結びつけ、

あなたの愛からはなれたときは、父の愛をもって引き寄せ、

彼らに自由を与え、約束の地に導いてくださいました。

 

聖なる父よ、わたしたちは あなたに感謝いたします。

それは、あなたがその御ひとり子、わたしたちの主イエス・キリストによって

わたしたちを 真理の光のもとに導いてくださったからです。

 

乙女マリアからお生まれになった御子は、あなたの民を罪から救うために

十字架の上でお亡くなりになり、

その復活によって永遠の希望を告げ知らせてくださいました。

 

あなたのもとに昇られ、慰め主である聖霊をお送りになり、

聖霊は、あなたのみ栄えと人々の救いのため、

福音の勧めに従って生涯を捧げる弟子たちを 数多く集められます。

 

その招きに応え、あなたに仕えるためにその身を捧げた

この姉妹によって、

今日、あなたの家に 新しい賛美の歌が響きわたりますように。

 

聖なる父よ、この姉妹の上に聖霊の賜物を豊かに注いでください。

キリストが あなたの教会の中におられることを、すべての人が認められるよう、

彼女に、御子キリストの姿を映してください。

 

彼女の心が なにものにも捕らわれることなく、

人々を通して苦しむキリストに 奉仕する者であれますように。

 

この世における出来事の中に、すべてを導かれるあなたのみ摂理を見出し、

あらゆる状況において、あなたの憐れみのしるし、あかしとなり、

この世の現実における 福音的パン種であれますように。

 

また、どこにおいても、あなたに絶え間ない礼拝と償いと捧げ、

あなたに招かれた人々を探す努力を通して、その喜びを探し求めますように。

 

彼女の生涯を通して 神の国の到来を早め、

いつか、天のふるさとで 聖人たちの交わりに迎えられますように。

 

わたしたちの主イエス・キリストによって。

 

f:id:secondson:20150628165319j:plain

f:id:secondson:20150628165335j:plain

そして

『あなたが、選んだ この険しい道を、兄弟の重荷を担いつつ、キリストの喜びのうちに、いつも歩み続ける恵みを神が 与えてくださいますように。』

 という閉祭の祝福のことばに、力強い『アーメン』の声が静かに響きました。

 

f:id:secondson:20150628165345j:plain

 式の後、本部建物の一室で、お祝いのパーティーが開かれ、和気あいあいとした家庭的な雰囲気の中で、談笑しながら、おいしく食事を頂き、楽しいひとときを持ちました。田口神父様が、松吉さんに、『おしあわせに!・・・だって、キリストの花嫁でしょ』と言われ、皆、笑顔でうなずいていました。

 

神よ、あなたのみ手の中で

f:id:secondson:20150425174449j:plain

神よ、わたしは、あなたのみ手に、わたしをゆだねます

この土を回してください。何度もまわしてください

つぼ作りの手の中の粘土になるように

ある、ひとつの形にして、それから、お望みなら粉々(こなごな)にしてくださってもよい。

わたしに求めたり、命令したりしてください、一体、わたしに何をしてほしいのですか

 

わたしは、上げられ、侮辱され、苦しめられ、

理解されず、中傷され、慰めのないまま

苦悩の中で、何の役にも立たないものになる

そのときこそ、あなたの母の模範に従って、

「おことば通り、この身になりますように」

このことばを言う他は ない。

 

本物の愛を私に与えてください。

 

それは十字架の愛

もしかしたら、自己愛をやしなうことになる英雄的な十字架

そうではなく、ふつうの十字架

残念ながら、それも、いやいやながら耐えている

毎日のように出会うその十字架

 

それは、失敗の中で、嘘(うそ)の中で

冷淡の中で、拒絶の中で

人から軽蔑されるとき

健康がすぐれず、体に欠陥を持つとき

理性の暗闇の中で

沈黙と、心のかわきの中で

まさに、そのとき、あなたは、わたしがあなたを愛しているということが、おわかりになるでしょう

それを、わたしは、知らないかもしれませんが、それで、充分なのです。

 

     アーメン

 

(ロベルト・ケネディ)

-『ランパス』2015年3月4月号より

主の御復活 おめでとうございます。

f:id:secondson:20150411152337j:plain

主の御復活 おめでとうございます。

 

ひとりぼっちだと絶対に思わないでください。

 

イエスさまといっしょに いつも 二人(ふたり)です。

 

彼は、あなたといっしょに苦しんだり、喜んだりしています。

 

そして、どんな困難のときでも、必要な力をくださるのです。

 

聖霊の恵みがあれば、

 冷談とかマンネリ化を簡単に避けることができるでしょう。

 

(ジョゼッピーナ・カレッソ 2015年「ランバス」より)

 

 

 

『霊的生活の小さな要点』

 いつくしみの聖母会の創立者フィリッポ・ピッチニーニ神父は、世間のまっただ中で、囲(かこ)いや修道服に守られることなく、奉献生活をおくろうとしている会員に、次のような勧(すす)めを与えています。 娘のことを心配している父親のような姿が、感じられる具体的な言葉です。日々のふり返りのチェックポイントとして生かして行きたいものです。

 

 

1.おしゃべりであってはならない。軽々しくしゃべり過ぎないこと。

 

2.秘密を守り、悪口や陰口を避けなさい。

 

3.隣人を簡単にさばくことなく、できるだけ善意で、その行動を受けとめなさい。

 

4.ささいな理由、また重大なことで、あなたの心が、傷つけられることがあるでしょう。重大な理由の場合には、落ち着いて、やさしく忍耐をもってゆるしなさい。もし、あなたが、誰かの心を傷付けたら、まず、ゆるしを請いなさい。誰かから軽蔑された場合には、すぐにゆるしなさい。

 

5.他者に対して、自慢したり、見下したりしてはいけません。あなたの目下に対しても、何かを命令するときは、柔和で、謙遜にしなさい。命令するよりも従うことを選びなさい。

 

6.傲慢になったり、がんこになって自分の意見に執着してはいけません。自分のまちがいに気付いたら、直ぐに考え直して、ゆるしを求めなさい。

 

7.過去に、あまり真面目に生活しなかったからといって心配しないで、それについて、率直に後悔するだけで充分です。そして、できるだけ何かの償いをもって、良くなろうと決心すればよいのです。

 

8.徳のために、危険な娯楽から逃げなさい。時折、健全な楽しみであっても、それをささげなさい。しかし、大げさにではなく、さりげなく犠牲をささげるのです。

 

9.あなたの衣服は、上品、モダン、好感のもてるものでよい。しかし、透(す)けて見えるような薄い生地でなく、えりぐりの開いたものでもなく、目立つものでもなく、体にピッタリしたタイトのものでもなく、素朴で、何よりも慎(つつ)しみ深いものであるようにしなさい。

 

(ランパス2015年1・2月号より)

 

 

世間の心に

『あなたがたには、世で苦難がある。しかし勇気を出しなさい。』(ヨハネ16:33)

 つまらないことを嘆くよりも、世の中には、多くの苦しみがあるということに思いを馳せましょう。

f:id:secondson:20090723133053j:plain

力強い助け主

『シオンよ、恐れるな。力なく手を垂れるな。お前の主なる神は、お前のただ中におられ、勇士であって勝利を与えられる。』(ゼファニア3:16-17)

 あなたの涙をイエズスにさしあげなさい。彼は、きっとすべてをこえる力を与えて下さることでしょう。

f:id:secondson:20140708101811j:plain

手を取り合って

『あなたは、弱い者の砦、苦難に遭う貧しい者の砦。』(イザヤ25:4)

 困難と暗闇の中にも、おそれないでいましょう。むしろ神の手の中に手をおきましょう。二人ならもっとよく闘い、もっと強いのです。

f:id:secondson:20110808045356j:plain

開かれたものへ

『私を愛しているか。』(ヨハネ1:15)

 イエズスは、私たちを待っておられる、いつも手を開いて。私たちは、もう一度、十字架の上にそれを釘付けにするか、あるいは、その手にみずからを委ねるか、どちらかです。

f:id:secondson:20110808045553j:plain

力いっぱいに叫ぶ

『主よ、あなたを呼び求めます。わたしに対して沈黙しないでください。』(詩編28:1)

 その時、イエズスが私に隠れて、もはや私は何も感じることが出来なくなった。けれども、そういうやり方でこそ、彼は、私の愛と信仰を試そうと望まれたのです。

f:id:secondson:20110808045514j:plain

光のことば

『あなたの御言葉は、わたしの道の光。わたしの歩みを照らす光。』(詩編119:105)

 私たちは、自分達を取り囲んでいる事柄に縛られ、神を見ることが出来なくなるかもしれない。信仰をもって物事を見るようにしましょう。

f:id:secondson:20110808045334j:plain

喜びいっぱい

『なぜなら、わたしの喜びがあなた方の内にあり、あなた方の喜びが満たされるためである。』(ヨハネ15:4)

 多くの人々のただ中に居ても、いつもイエズスと二人だけで居られるために、私たちは、自分の中に小さな部屋を作ることが出来ますよ。

f:id:secondson:20110808045501j:plain

手を伸ばしなさい

『あなたたちの神、主に立ち帰れ。主は恵みに満ち、憐れみ深く、忍耐強く、慈しみに富み、くだした災いを悔いられるからだ。』(ヨエル2:13)

 イエズスは、愛の物乞い、彼は手を伸ばしています。けれども多くの場合、がっかり手をひっこめます。なぜなら、彼の願いに応じて愛を与える者は、とても少ないから。

f:id:secondson:20100909103146j:plain